以前芹澤さんの著書の戦略ごっこを読んでめちゃくちゃ良かったのと、そこでのフォーカスは「シェア」であり、これをつくるカテゴリーエンターポイント(CEP)を中心に市場構造の話がされていたのですが、そこにおける重要なポイントである新規顧客、未顧客にフォーカスしたのがこちらの著書だったのでセットで読みたかったので、こちらも読みました。
20:80の法則は実は成り立たない世界の方が多いことはいろいろなところで実証されており(戦略ごっこでも紹介されてましたが)、実態は新規ユーザー、ライトユーザー層が約半数化60%程度を占めているケースがほとんどです。そしてブランドの成長にはこの層の成長なくして達成は難しいのです。
ちなみに残る40-50%を作る上位20%顧客も大事じゃないか!既存顧客だ!というのもごもっともですが、
・ヘビーユーザーが翌年もヘビーでいる確率は50%(平均への回帰も存在する)
・購入頻度や額は変数ではない。人やカテゴリーによってほぼ決まっているためアップセル/クロスセルは限定的
※ちなみに浸透率の伸びが鈍くなった大ブランドがマージン戦略の一環で既存顧客のプレファレンスに特化した製品を開発し差別化するのはアリな戦略
ということから、この層をさらに伸ばすのは難しいのが実態です。
かつ、当たり前ですがヘビーユーザー/ライトユーザー/ノンユーザーのカテゴリー購買数量(前述しているように定数)とブランド購買数量の差の差分が伸びしろになる以上、ブランドの成長余地はライトユーザー/ノンユーザーに多くあるのです。
前置きが長くなりましたが、この重要なライトユーザー/ノンユーザーをどう理解し、その後の戦略につなげていくかが本書のフォーカスです。
本書ではそのポイントとしていくつかとりあげられています。
・顧客視点を持つために必要なのは客観的な特徴や属性の理解ではなく、主観的な行動原理の理解が必要。「人びとの対峙する世界」に焦点を当てるべき
→イメージとしてはシャーマンキングのオーバーソウルですね。これは私も実際調査をやっていく中で、どうも表面的な回答が多いなーーと思ってた時に「その人がおかれている環境に染まってみる」というのを意識して動くと見えてくるものが多かったです。
・ペルソナではなくシャドウを捉える
→ペルソナはTPOに合わせてかぶる仮面、シャドウはその仮面の下にある普段抑え込んでいる感情や人格のこと
・未顧客理解では「市場の再定義」として「生活の文脈やシーンをターゲティングしてそこにポジショニングする」、あくまでZ世代、女性、とかいう人ではなくすことで市場の定義を広める。
→ブランドのどんな側面を切り出し、どう伝えるのか、が肝になる。
→これがカテゴリーエンターポイント(CEP)の考え方
戦略ごっことも同じポイントが多く使われていたので私にとっては既出の部分もありますが、全体として、新しい角度からの示唆に富んだ内容でとても参考になりました。
個人的にはこのあたりの考えを取り入れていくのは賛成なので、CEPをベースにそこでセイリエンスを上昇させ、ライトユーザーを取りこむ設計を組んでいくのが良いと思います。
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